海外での交渉 (2)

海外において事業を行う際にも
国内同様、関係各社(者)との間での利害の設計は重要だ。

それらを進めていくために交渉は必要になってくる。

前回は、そこで情報の不足が起こす交渉相手に対しての推測の困難性について書いた。

現地でのネットワークを構築して、弱みとなっている情報の収集力を
引き上げていくのは当然のことだが、そうしていく途中でも
判断をしなければいけない場面はでてくる。
そうした際には、確約できるところでさきに、確約を取っておくことが予防線になる。

たとえば、メーカーからの製品の購入に際して、初回の取引での過度の価格交渉はお勧めできない。
理由は、対象としているモノの価格以外の条件の変更によって対象としているモノの価格は
変化しうるものであるからだ。
対象としているモノの価格を決める場合はその他の条件の決定が先である。

何か製品を輸入する際に製品価格を120USDから100USDに下げてもらっても
相手側は、梱包材を薄くする、塗装を安く仕上げるなどして製品に付帯する費用を
安くすることで対応してしまう。
梱包材を薄くされて、輸送途中に破損してしまっては元も子もない。
こうした場合には品質面や性能面での保証を先に取っておくことの方がいい。

情報の不足とは、判断に足る事実情報が十分に集められない状況である
そうした中では相手の開示している情報が、判断するうえで大きな影響力を持つ要素になる。
ゆえに、情報の不足する環境の中では交渉相手との間での互いの協力・信頼関係は欠かせない。

それがなければ、リスクの高さゆえに行動しない方が良いとの判断にもつながり
機会の損失が発生して双方にとって望ましくない結果になる。

もちろん、このように交渉相手の方が情報面で優位な状況の中での情報の開示は
海外での交渉術①で書いた交渉相手本来の持っている交渉妥結範囲はより狭くなり
最低妥協ラインはより上がるものになる。
しかし、それでも行動しないという機会損失を避けることが出来れば
一定のベネフィットの享受を双方ができることになるので初回においての
交渉の落とし所としては悪くはない。
交渉は一回で終わるものではないので、こうした取引事実が蓄積していくと
次回の交渉に臨む時の参照値になって、以降の精度を上げていくことができる。

ここまでで、海外での交渉は情報劣位の状況の中で
行われるものであることを書いた。

次回は、交渉に入る前の段階で必要条件になる
相手方が持っている論理への理解について書こうと思う。

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